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世界の陶磁器原料産地と、その特徴。

9月13日
読了時間: 4分

陶磁器の原料は、世界のさまざまな場所で採れます。

白く焼き上がる原料。粘りが強く、形をつくりやすい粘土。細かく砕くことで、磁器の原料になる石。

ひとくちに「器の土」といっても、その性質は同じではありません。つくりたい器に合わせて原料を選び、組み合わせることで、成形のしやすさや焼き上がりを調整しています。

今回は、器をつくる街から少し視点を移し、その材料が採れる土地を紹介します。



陶磁器の原料は、粘土だけではない

陶磁器づくりには、粘土のほかに、陶石や長石、石英なども使われます。

たとえば「カオリン」は、白さや耐火性を生かして磁器などに使われる原料です。一方、「ボールクレー」は粘りが強く、形をつくりやすくするために配合されます。

また、日本の磁器づくりで重要なのが「陶石」です。見た目は岩石ですが、細かく砕いて精製することで、器の素地をつくる原料になります。

土を掘り、そのまま形にして焼くものもあれば、性質の異なる原料を調合してつくるものもある。器の素材には、さまざまな成り立ちがあります。




世界の主な陶磁器原料産地

以下は、陶磁器の歴史や原料供給に関わる代表的な地域です。現在の採掘地に加え、歴史的に重要な原料産地も含めています。なお、同じ地域でも鉱床や採掘する層、精製方法によって品質は異なります。


国・地域

主な原料

特徴・陶磁器との関わり

中国・江西省景徳鎮周辺

カオリン、陶石

陶石とカオリンを組み合わせる技術が、磁器生産の発展を支えた地域。

中国・福建省徳化周辺

カオリンなどの磁器原料

豊かな磁器原料の資源を背景に、白磁の生産が発達。

イギリス・コーンウォール、デヴォン

カオリン

花崗岩の変質によって生まれた鉱床。白色陶磁器や製紙などに使われる。

イギリス・デヴォン、ドーセット

ボールクレー

粘りが強く、成形性を補う原料。食器、衛生陶器、タイルなどに配合される。

フランス・サン=ティリュー=ラ=ペルシュ周辺

カオリン

18世紀の原料発見が、リモージュ磁器の成立につながった歴史的産地。

ドイツ・バイエルン州ヒルシャウ、シュナイテンバッハ周辺

カオリン

長石が変質して生まれたカオリンを含む地層が分布する地域。

チェコ・カルロヴィ・ヴァリ周辺

カオリン

磁器用のカオリンを産出し、チェコの磁器産業を支えてきた。

ウクライナ・ドネツク地方など

陶磁器用粘土

白く焼き上がる粘土などを産出。タイルや建築用陶磁器などの原料に使われてきた。

アメリカ・ジョージア州

カオリン

大規模なカオリン産地。陶磁器のほか、紙や塗料など幅広い用途を持つ。

ニュージーランド・マタウリベイ

ハロイサイト

純度と白さに特徴があり、高級食器などの原料として海外にも供給されてきた。

日本・愛知県瀬戸〜岐阜県東濃地方

蛙目粘土、木節粘土

古い湖や河川の堆積物に由来する粘土。精製・配合して陶磁器原料に使われる。

日本・佐賀県有田町泉山

泉山陶石

日本の初期の磁器生産を支えた歴史的採掘地。現在の採掘は限定的。

日本・熊本県天草地方

天草陶石

着色の原因となる不純物や、焼成時の変形が少ないことなどが評価され、有田などにも供給される。


<参照資料>



原料が採れる場所と、器をつくる場所

原料の産地と、陶磁器をつくる産地は、必ずしも一致しません。

たとえば有田では、泉山陶石が磁器生産の始まりを支えましたが、現在は熊本県の天草陶石などが使われています。器をつくる技術がその土地に受け継がれる一方で、原料の調達先は変わってきたのです。

また、陶磁器づくりには、原料の粉砕や精製に使う水、窯を焚く燃料、原料や製品を運ぶ川や港なども関わってきました。景徳鎮でも、陶石やカオリンに加え、森林資源と水運が磁器生産を支える条件になりました。

必要な材料を運び、求める白さや粘り、焼き上がりに合わせて配合する。そのため、一つの産地でつくられた器に、複数の土地の原料が使われることもあります。


掘り出された粘土は、紙や塗料にもなる

鉱山で採れる粘土が、すべて焼きものになるわけではありません。

カオリンは、紙の表面加工や、塗料、ゴム、プラスチックに加える材料としても使われます。粘土の種類によっては、吸収材や、掘削に使う泥水、セメントの原料などにもなります。

白さ、粒子の細かさ、水とのなじみ方。陶磁器に役立つ性質は、別の製品をつくるときにも生かされています。


原料産地は、器だけでなく、私たちの暮らしを支える多くの産業とつながっているのです。


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